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第61話 休日の電話は三分でお願いします

Author: 八月 猫
last update publish date: 2026-08-09 09:00:37

 池の周りを歩き終える頃、帝人さんのスマホが震えた。

 画面を確認した彼の表情が、一瞬で変わる。

 さっきまで写真の中の私を見ていた人とは思えないほど、視線が鋭くなった。

「榊原だ」

「出なくて大丈夫ですか?」

「緊急でなければ、かけてこない」

 帝人さんは私から少し離れた。

「話せ」

 電話に出た途端、声まで低くなる。

 私は少し先の池を眺めながら待つことにした。

「却下だ。数字が合わない」

 短い。

「先方の希望は聞いていない。こちらの損失を出せ」

 怖い。

「その条件なら切れ。代替案は三つある。二番を先に当てろ」

 仕事中の帝人さんは本当に容赦がない。

 相手が榊原さんだから会話が成立しているのだろうけれど、私なら最初の「却下だ」で心が折れる。

「戻る必要はない。今日は行かない」

 そこで帝人さんの視線が私へ向いた。

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